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失語症とは??

2022.05.23

失語症といっても、理解力や発話力には違いがあり、それぞれの特徴を大まかにでも理解しておくことが、患者様、ご利用者様の状態を把握するためには必要なことです。

今回は、失語症の種類や構音障害との違いについてお伝えしていきます。

 

〇失語症とは

 

失語症とは、「話す」「読む」「聞いたことを理解する」「書く」といった言葉を扱う機能が障害されてしまう症状を指します。

脳の障害される部位により、物品の名前が言えなくなったり、言われたことが理解できなくなったりします。

失語症は脳血管障害が原因となる場合が多く、脳梗塞や脳出血時に脳の言語を司る部位が損傷された場合に生じやすいです。

特に、左脳に言語中枢があるため、この部位で損傷があった場合に症状が出やすくなります。

 

〇失語症の種類

 

脳の障害部位により失語症の症状にも違いが生じます。

 

非流暢性失語・・・全失語、ブローカー失語

流暢性失語・・・ウェルニッケ失語、健忘失語

 

一般的には、発語がない、発語がぎこちない「非流暢性失語」と、比較的スムーズに話すことができる「流暢性失語」に分類されます。

 

・全失語

失語症の中では、障害の程度が重いと言われています。

発語が全くみられないか、強く働きかけた時に限られた数の語を発するか、意味の通らない発話をするパターンがよくみられます。

「えー。あっ。おー。」といったように、発生レベルにとどまる場合もあります。

また、理解障害の程度が重く、身の回りの物品を問うても正しく選択できないなどの反応がみられます。

 

・ブローカー失語

全失語と同様に、発語はぎこちないですが、単語や短文を使える方もいます。

全失語に比べると、理解障害の程度も軽~中等度の障害のことが多いです。

「はい」「いいえ」で応答できたり、身の回りの物品から一つを選択できたりしますが、複雑な指示は理解が困難となる場合が多いです。

ここで注意しておきたいことが、「はい」「いいえ」で応答できることに確実性を求めすぎないということです。問いかけると、「はい」「いいえ」で返答が返ってきても、理解障害の可能性が伴っていることを忘れてはいけません。

 

・ウェルニッケ失語

比較的流暢に発話ができるものの、単語・文章を理解する能力が障害されています。ゆっくりと話しかけることやジェスチャーなどを交えながら伝えると理解できる場合もあります。

よく話すものの、意味のない音や言い間違えが多く含まれるため、支離滅裂な印象になってしまう場合があります。

 

・健忘失語

理解障害がないかあっても軽微で、比較的スムーズに発話も可能です。

しかし、喚語困難(言いたい言葉が出てこない)、迂言(回りくどい言い方)などがみられます。

例えば「水筒」という言葉が出てこない場合は、「あの、あれがほしいんだけど・・・。ほら、あーあかん。出てこない。飲むやつ。どっか行ったときに」のような言い方となり、聞き手が手がかりとなる言葉を伝えていく必要があったりします。

「あれ」「それ」などの指示名詞の多用が目立つことも特徴です。

 

〇失語症と構音障害の違い

 

失語症と混同されやすい障害に「構音障害」があります。

いずれも脳血管障害などが原因で起こることが多い点は共通していますが、構音障害では言葉を発するための筋肉の機能に障害が現れます。

言葉を発するためには、唇や舌を動かす必要がありますが、この運動がうまくいかないことが原因として起こります。

構音障害の場合は、発音が不明瞭になる、声が小さくなる、話すリズムが乱れるなどの症状が出現します。

構音障害の場合は、「話す」ことだけに影響があり、理解する力や読み書きをする能力は障害されません。

一方、失語症は脳の言語中枢に障害があるため、仕組みや症状に違いがあります。

言語に障害をお持ちの方と接するときは、その人の抱えるストレスを理解する姿勢を持ちましょう。