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食中毒予防 トピック②

2022.05.05

〇台所に潜む食中毒の危険

食中毒は、飲食店で発生しているだけでなく、家庭でも発生しています。家庭における食中毒は、症状が比較的軽いことや、家族のうち全員には症状が出なかったりする場合もあるため、食中毒であると認識されないケースも少なくありません。

厚生労働省の統計では、家庭での食中毒の発生件数は全体の1割程度となっていますが、実際にはもっと多く発生していると考えられます。家庭にも食中毒の危険が潜んでいるのです。

食中毒の原因となる細菌やウイルスは目に見えないため、どこにいるか分かりませんが、私たちの周りの至るところに存在している可能性があります。

肉や魚などの食材には、細菌やウイルスが付着しているものと考えましょう。

また、いろいろな物に触れる自分の手にも、細菌やウイルスが付着しています。細菌やウイルスの付着した手を洗わずに食材や食器などを触ると、手を介して細菌やウイルスが付着してしまいますので、特に注意が必要です。

きれいにしているキッチンでも、食中毒の原因となる細菌やウイルスがまったくいないとは限りません。食器用スポンジや台ふき、シンク、まな板などは、細菌が付着・増殖したり、ウイルスが付着しやすい場所と言われています。

 

〇食中毒予防の原則

予防の原則は、食中毒の原因菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」、原因ウイルスを「持ち込まない」「ひろげない」「つけない」「やっつける」です。

食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。食中毒を防ぐためには、細菌の場合は、細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3つのことが原則となります。

また、ウイルスの場合は、食品中では増えないので、「増やさない」は、当てはまりません。ウイルスは、ごくわずかな汚染によって食中毒を起こしてしまいます。ウイルスを食品に「つけない」を確実に実行するためには、調理者はもちろんのこと、調理器具、調理環境などの調理場全体がウイルスに汚染されていないことがきわめて重要になります。そのようなウイルスに汚染されていない調理環境をつくるには、調理場内にウイルスを「持ち込まない」、仮に持ち込んでしまったとしても、それを「ひろげない」ことが大切です。すなわち、ウイルスによる食中毒を予防するためには、ウイルスを調理場内に「持ち込まない」、食べ物や調理器具にウイルスを「ひろげない」、食べ物にウイルスを「つけない」、付着してしまったウイルスを加熱して「やっつける」という4つのことが原則となります。

 

その基本的な方法は、次のとおりです。

◆食中毒の原因菌は

1)つけない=「洗う」「分ける」

手にはさまざまな雑菌が付着しています。食中毒の原因菌やウイルスを食べ物に付けないように、次のようなときは、必ず手を洗いましょう。

・調理を始める前

・生の肉や魚、卵などを取り扱う前後

・調理の途中で、トイレに行ったり、鼻をかんだりした後

・おむつを交換したり、動物に触れたりした後

・食卓につく前

・残った食品を扱う前

(2)増やさない=低温で保存する

細菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になりますが、10℃以下では増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下では増殖が停止します。食べ物に付着した菌を増やさないためには、低温で保存することが重要です。肉や魚などの生鮮食品やお総菜などは、購入後、できるだけ早く冷蔵庫に入れましょう。なお、冷蔵庫に入れても、細菌はゆっくりと増殖しますので、冷蔵庫を過信せず、早めに食べることが大事です。

(3)やっつける=加熱処理

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅しますので、肉や魚はもちろん、野菜なども加熱して食べれば安全です。特に肉料理は中心までよく加熱することが大事です。中心部を75℃で1分以上加熱することが目安です。

台ふきやまな板、包丁などの調理器具にも、細菌やウイルスが付着します。特に肉や魚、卵などを使った後の調理器具は、洗剤でよく洗ってから、熱湯をかけて殺菌しましょう。台所用殺菌剤の使用も効果的です。

 

ウイルスの場合は、調理場内へウイルスを「持ち込まない」、「ひろげない」ことが重要です。

 

 

〇食中毒を防ぐ6つのポイント

家庭での食中毒予防は、食品を購入してから、調理して、食べるまでの過程で、どのように、細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」を実践していくかにあります。ここでは、「買い物」「家庭での保存」「下準備」「調理」「食事」「残った食品」の6つのポイントで、具体的な方法を紹介していきます。

(1)買い物

・消費期限を確認する

・肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品は最後に買う

・肉や魚などは汁が他の食品に付かないように分けてビニール袋に入れる

・寄り道をしないで、すぐに帰る

(2)家庭での保存

・冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に保管する

・肉や魚はビニール袋や容器に入れ、他の食品に肉汁などがかからないようにする

・肉、魚、卵などを取り扱うときは、取り扱う前と後に必ず手指を洗う

・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に保つ

・冷蔵庫や冷凍庫に詰めすぎない(詰めすぎると冷気の循環が悪くなる)

(3)下準備

・調理の前に石けんで丁寧に手を洗う

・野菜などの食材を流水できれいに洗う(カット野菜もよく洗う)

・生肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べるものや調理の済んだものにかからないようにする

・生肉や魚、卵を触ったら手を洗う

・包丁やまな板は肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて使い分けると安全

・冷凍食品の解凍は冷蔵庫や電子レンジを利用し、自然解凍は避ける

・冷凍食品は使う分だけ解凍し、冷凍や解凍を繰り返さない

・使用後の台ふきやタオルは熱湯で煮沸した後しっかり乾燥させる

・使用後の調理器具は洗った後、熱湯をかけて殺菌する(特に生肉や魚を切ったまな板や包丁)。台所用殺菌剤の使用も効果的。

(4)調理

・調理の前に手を洗う

・肉や魚は十分に加熱。中心部を75℃で1分間以上の加熱が目安。

(5)食事

・食べる前に石けんで手を洗う

・清潔な食器を使う

・作った料理は、長時間、室温に放置しない

(6)残った食品

・残った食品を扱う前にも手を洗う

・清潔な容器に保存する

・温め直すときも十分に加熱

・時間が経ちすぎたものは思い切って捨てる

・ちょっとでもあやしいと思ったら食べずに捨てる